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米軍犯罪被害者救援センター

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米兵公務中の事故 和解 国、過失認め賠償

琉球新報ではトップを飾ったこの記事は、地位協定に基づく損害賠償と、問題の一端をあらわしています。

まず、ここにあるように、公務中の事件として扱われたこの事故の加害者は、日本で裁くことができませんでした。
公務中なら、まず最初に刑事裁判をする権利(第一次裁判権)は米側にあります。
米側は、この権利を放棄することもできますが、まずそのようなことはありません。
逆のケースはよくあるのですが、また別の機会にお話します。

さらに、公務中の事件についての賠償責任は日本政府が負います。
これは「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法」に定められています。

この記事のケースは、まさに上の手続きによって、国から損害賠償がなされることとなりました。

大きく問題となるのは、事故が米兵の通勤中のものだった、ということです。
岩国の交通死亡事故の記事でも触れましたが、「密約」により、米兵らは通勤中が「公務中」だとみなされています。
一般人は、通勤中の災害に労務災害は適用されますが、加害や賠償についてはプライベートでの事故とまったく同じ扱いとなります。
米軍が米兵らの通勤中を「公務中」とするのは、刑事裁判権をより幅広く持つためで、駐屯国である日本で裁かせたくないからです。

あわせて、賠償責任を日本政府が負うわけですが、県内初の事例とあるように、手続きをすればきちんと賠償をえることが出来ることが、ほとんど知られていません。
「米軍犯罪対応マニュアル」にも、この制度について広く知ってもらおうと、フローチャート図で詳しく説明しています。
被害を受けてしまったら、やはり正当な賠償を得てもらいたいと思います。

さらにここには隠された問題があります。
被害者に支払われた賠償金のうち、分担金を、日本政府は米側に請求しなければいけません。
この分担割合は、地位協定で次のように定められています。

過失の割合が米100:日0の場合 米分担75%:日分担25%
双方に過失がある場合        米分担50%:日分担50%

つまり日本側になんら過失がなくても日本は少なくとも25%、過失の割合が低くても過失があれば50%の分担金を負担しなければいけません。
また、多くの爆音訴訟で日本が原告に支払ってきた賠償金の分担金を、米側に請求すらしていないことが、国会の答弁などであきらかになっています。

米軍を日本に駐留させている政府の責任は当然あります。
しかしながら、この分担金を負担させることを定めた「合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する省令」にも違反して、償還請求しないケースがあるということは、思いやり予算のように根拠のない支出と同様、日本政府による違法行為と言わざるを得ません。

短い記事の中に多くの問題が含まれているように、米軍犯罪はわかりづらく、複雑な構造になっています。
しかし、ひとつひとつを丁寧に見ていけば、変えていかなければいけない問題をいくつもはらんでいることが鮮明になってきます。
わかりづらさに臆することなく、おかしな点を多くの人と共有し、訴えていくことが、解決へのひとつの道だと思います。


米兵公務中の事故 和解 国、過失認め賠償【琉球新報 2010年10月20日】

 2008年8月にうるま市で米海軍所属の女性が起こした交通事故で死亡した男性=当時(38)=の家族が、日米地位協定の民事特別法に基づき、国と沖縄防衛局を相手に損害賠償など約7100万円を求めた訴訟は19日、那覇地裁で、国側が米兵の過失を認め賠償金を支払う内容の和解が成立した。沖縄防衛局は「(県内で)同種事案で同法に基づく賠償支払いは過去に例がない」と回答。県内初の事例とみられる。
 米兵はこの事故で自動車運転過失致死容疑で書類送検された。家族側によると、日米地位協定上、公務中の事件は第一次裁判権が米側にあることを理由に、米兵は不起訴処分となった。今回の裁判で国側は当初「(米兵に)過失責任はない」などと反論していた。
 原告代理人の亀川栄一弁護士は「国は米兵に落ち度がないと主張してきた。きちんと責任を取るべきだ。裁判所はこちらの言い分を認め和解を勧告した」と、訴訟を続けた国の姿勢を批判。一方で「本来は刑事事件で問われる事案。日米地位協定を改正すべきだ」と指摘した。
 和解は内容について公表しないとされているため、賠償額などは明かせないとした上で「ほぼ請求が認められた」と説明。沖縄防衛局は「地裁の和解勧告に応じたが、内容の詳細はプライバシーにかかわることから差し控えたい」と話した。
 訴状によると、事故は08年8月11日朝、うるま市田場の道路で発生。米海軍の女性は乗用車で進行中、対向車線に進入し、向かってきた男性のバイクに衝突し、男性は死亡した。米海軍の女性は勤務先のホワイトビーチに向かう途中だった。

<用語>民事特別法
 日米地位協定の実施に伴う特別法。米兵の公務中の不法行為や米軍施設の管理不備などで他人に損害が生じた場合、日本政府が賠償責任を負うなどと規定。米海軍横須賀基地に勤務した元基地従業員らが、業務でアスベスト(石綿)を扱い被害を受けたとして同法に基づき、国を訴えた裁判では横浜地裁横須賀支部が国の責任を認め賠償支払いを命じた。県内の事件、事故での認定は過去にないとみられる。

琉球新報1020
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  1. 2010/10/22(金) 07:54:26|
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